JA佐賀中央会

食料・農業・農村基本法改正案の概要について

基本法が制定後はじめて、四半世紀ぶりに見直し。国会審議へ

 政府は、「農政の憲法」とされる食料・農業・農村基本法改正案を国会に提出しました。平成11年の制定から25年。世界では食料争奪が激化し、農業をめぐる環境も大きく変化しています。
そのような中、改正案は食料安全保障の確保が新たに理念に掲げられました。国会審議では新たな理念の是非と共に、それを実現する有効な手だてが講じられるのかが焦点となっています。

農業系高校とJAの接点をつくり、地域農業の担い手育成やJAへの理解促進による人材確保につなげることを目的に、佐賀県高等学校教育研究会農業部会とJA佐賀中央会は2月2日、多久市内で「農業・JA教育研究会」を開いた。
 県内の農業系高校の校長や教員、県、JAから約20人が出席。佐賀牛の輸出促進に向け県畜産公社内に設立された高性能食肉センター「かけはし」の視察を行い、佐賀牛ブランドを支える加工処理方法や輸出展望について学んだ。
また、農業系高校と県、JAで情報交換を行い、高校卒業者の就農やJAの採用に関する課題の共有を図った。
 同部会座長の佐賀農業高等学校外戸口校長は、「若者が夢を描ける農業を実現するためには、我々農業系高校とJA、県の連携が不可欠。この協力関係により地域の担い手をしっかり育成したい。」と話した。

令和6年度税制改正 閣議決定し、国会審議へ

 政府は、令和6年度の税制改正大綱を令和5年12月22日に閣議決定し、令和6年1月26日に召集された令和6年通常国会に税制改正関連法案として提出する予定です。

 税制においては、社会情勢などを踏まえて様々な特例が措置されています。

 JAグループでは全国からの要望を取りまとめ、政府へ要望を伝えてきました。今回はJAグループの要望項目のうち、特に農家の方々に関連のある2つの事項について紹介します。

 

1.令和6年度予算概算要求の概要
  農林水産省は、今年8月、総額2兆7,209億円の令和6年度予算概算要求を財務省に提出しました。国産飼料の生産拡大や適正な価格形成、多様な農業人材の意欲的な取組の推進など、新たな事業の創設・拡充が盛り込まれています。

⑴ 国産飼料の生産拡大
  飼料生産が可能な土地を最大限に活用して飼料生産面積を拡大させ、飼料の単収向上を図る取組を支援することにより畜産農家が安心して家畜の飼養管理に邁進することができるよう、国産飼料増産を図る取組を支援する内容となっています。
⑵ 適正な価格形成
  原材料やエネルギーコスト等が高騰する中、食品の生産・流通コストの上昇分の円滑な価格転嫁に向けて、コストを反映した価格形成を促すための環境整備に向けた調査を行うほか、消費者等に対しコスト上昇の背景等をわかりやすく伝える広報等の取組を実施し、価格転嫁を進める関係者を後押しする内容となっています。

2.今後の予算編成の動向
  政府・与党では、12月中旬頃まで6年度当初予算の協議を行い、クリスマス頃に予算案が閣議決定される予定です(最終的には、予算案が国会で審議され成立します)。大枠は概算要求の内容で決定すると思われますが、閣議決定された内容が報道された際には、ぜひその内容をご確認ください。

1 令和6年度農林水産関係予算 閣議決定し、国会審議へ

政府は、令和5年度予算比で3億円増となる総額2兆2,686億円の令和6年度農林水産関係予算を

令和5年12月22日に閣議決定しており、令和6年1月に召集される通常国会で審議が始まります。

JA佐賀中央会は12月22日、佐賀市内で令和5年度JA非常勤理事研修会を開催した。経営者として求められる能力の向上を図ることがねらい。県内JAの非常勤理事約90名が参加した。
 同中央会の大島会長は最近の農業・JAをめぐる情勢について報告。「農業経営が価格高騰によりひっ迫している。基本法改正を見据えた農政運動を継続し、各方面に必要な支援を求めていく」と決意を述べた。
研修では、富山大学の酒井富夫名誉教授が「食料・農業・農村基本法の見直しを見据えた地域の展望とJA・理事の役割」と題し講演を行った。
「国が目指す食料安全保障を確立するためには、地域を支える多用な担い手の位置づけや、両輪農政として機能すべき農村政策と環境政策の関連について、基本法の中で明確に位置付ける必要がある。」と呼びかけた。
出席した理事は「地域社会を守るためにやるべきことを地域住民を巻き込んで考えていきたい」と話した。

県内のJA・生協・漁協・森林組合でつくる佐賀県協同組合間提携連絡会議(事務局=JA佐賀中央会)は協同組合が連携して地域貢献活動に取り組むことをねらいに、毎年各団体の輪番で提携活動を展開している。
2023年度の活動は佐賀県有明海漁業協同組合の提案により、有明海沿岸の豊かな自然を未来に残すため、(株)サガテレビが同漁協や各企業と協力して毎年行っている「アクトクリーンSAGA(有明海沿岸一斉清掃)」に参加した。本年度は10月21日に東与賀海岸で開催され、漁協関係者や企業、一般の親子連れなど約800人が参加。同連絡会議の構成団体からは、職員や家族ら約100人が集まり、海岸に流れ込んだアシやごみを拾い集め、袋に回収した。
参加者からは「美しい有明海を守るには定期的な清掃活動が必要だ」「子どもの参加も多く、環境問題を考えるきっかけになったと思う」などの感想が寄せられ、環境保全への意識を高めた。
2021年度は「SDGsと協同組合~地域の持続可能性にどう貢献するか~」をテーマにした学習、2022年度はSDGsをさらに身近なものと捉えるために、各団体の職員を対象とした「SDGs川柳コンテスト」
を実施した。

写真=秋晴れの中、清掃活動に取り組む参加者(10月21日、佐賀市)

 

JA佐賀中央会は9月14日、20日、21日の3日間、多久市の教育センターで協同組合理念研修を行った。若手職員の効果的な人材育成を目的とした「人づくり10年プログラム」の一環。入組2年目程度の職員を対象に、日常業務で適切な組合員対応が行えるよう、協同組合理念を理解し、行動することを目的に今年度新たに企画した。
県内のJA・連合会等の職員110人が参加。組合員・地域・JAを取り巻く環境とJAの特質、協同組合理念について学んだ。グループワークでは、組合員・利用者は今何を求めているのか、その実現に向けた具体的な行動について活発に意見交換した。参加者は「協同組合の理念が仕事の軸になることが分かった。今後は理念に基づき、組合員や利用者のニーズにあった対応を行っていきたい」などと話した。
講師のJA佐賀中央会教育課の樋渡康浩さんは「日々組合員と接する皆さんが協同組合理念の本質を理解した上で、行動に移し組合員や利用者にJAの魅力を伝え、JAに参画してもらえるようになってほしい」と想いを伝えた。

1.豚熱とは

豚熱(CSF)とは、豚熱ウイルスにより起こる豚、いのししの熱性伝染病で、強い伝染力と高い致死率が特徴です。感染豚は唾液、涙、糞尿中にウイルスを排泄し、感染豚や汚染物品等との接触等により感染が拡大します。

治療法は無く、発生した場合の家畜業界への影響が甚大であることから、家畜伝染病予防法の中で家畜伝染病に指定されています。

わが国ではこれまで飼育豚で89事例発生しており、本県では今年8月に唐津市で発生しました。

2.発生した場合の防疫措置

  CFSウイルスの感染がまん延すると豚肉の安定供給に支障をきたすことから、発生が確認された場合、発生農業内のすべての豚は速やかに殺処分・埋却され、豚舎や物品の消毒、近隣豚舎も含めた搬出制限などの防疫措置が取られます。

  このような防疫措置や流通段階での衛生管理措置がしっかり行われているため、国内では感染が疑われる豚肉が市場に出回ることはありません。また、万が一、感染豚を食べた場合でも、CFSが人に感染することはないとされています。

 

 

3.感染拡大防止に向けて

  感染拡大防止のため、家畜がいる施設に近寄らないことや山林からウイルスを持ち込まないよう、山林に立ち入った際は、靴の泥を山で落としてくるなどしてください。また、畜産関係の仕事に従事している方々が、CFS発生国を訪問した際には、家畜を飼育している農場などへの立ち入りは極力避けるようにしてください。

  また、飼育する豚にCFS感染が疑われる場合は、直ちに家畜保健衛生所に通報をお願いします。

 

日本の国家予算の編成・審議は、前年度3月末までの成立を目指して、夏頃から始まります。

 今回は、農業関係予算が成立するまでの流れをご紹介いたします。

 

 JAグループと農政協議会は、農業の実態や農業者の要望に基づいて政府や与党・国会議員に要請活動を行い、食料安全保障の強化、所得増大や生産拡大につながるよう働きかけを行っています。

農畜産物を将来にわたり安定供給するためには、生産・流通サイドのコスト削減努力も必要ですが、再生産に意欲を持って取り組める価格での取引が行われる仕組みづくりが非常に重要となります。

 農林水産省では、畜産・酪農の適正な価格形成に向けた推進会議を開催し、生産コスト等を価格に反映しやすくするための環境整備を図ることとしています。

 具体的には、生産や流通段階の状況や取り組み等についての消費者等の理解醸成を図るとともに、生産コスト等を適正に価格へ反映することを可能とするためのルール整備について令和5年4月より検討されています。

 価格形成の仕組みづくりは、非常に重要な課題で、すべての品目で取り組む必要がありますが、まずは生乳・牛乳乳製品から検討していくこととなっています。

 

県内のJA・生協・漁協・森林組合でつくる佐賀県協同組合間提携連絡会議(事務局=JA佐賀中央会)は持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みをすすめようと、オリジナルリーフレットを作成した。毎年7月の国際協同組合デーに合わせたもの。

SDGsは2015年に国連で採択された。2030年が達成目標年次で、2023年9月に実行の折り返し地点を迎える。協同組合のSDGs達成への貢献を示していくことが今後ますます重要となってくることから、2023年度国際協同組合デーのテーマに「すすめよう SDGs」を掲げた。

リーフレットにはSDGsが「環境」「社会」「経済」の3つの分野で構成されていることや17の目標が密接に関わっていることなどを盛り込み、協同組合のメンバーがSDGsへの理解を深める内容となっている。連絡会議の構成団体の活動内容や2022年度に行った「SDGs川柳コンテスト入賞作品」も紹介している。リーフレットは、県内の関係各団体が記念行事などに活用。

JA佐賀中央会は3日、佐賀市の県JA会館で第101回国際協同組合デー記念行事を開いた。大島信之会長は「協同組合の理念とSDGsの理念は親和性が高く、SDGsへの取り組みは私たちが協同組合の先人から受け継ぎ育んできた協同組合らしさを十分に発揮することで貢献できる」と述べた。

JA佐賀中央会とJA佐賀信連、県農業信用基金協会、県農村地域情報センターは6月30日、通常総会を佐賀県JA会館で開き、2022年度事業報告など全議案を承認した。

 任期満了に伴う役員改選では、中央会・連合会等の会長・理事長に大島信之氏(JAさが)が就任した。中央会副会長に楠泰誠氏(JAさが)、信連経営管理委員会副会長に堤武彦氏(JAからつ)、全共連佐賀県本部運営委員会副会長に大隈博義氏(JAさが)が就任した。

 大島会長は「農畜産物価格の低迷や肥料・飼料、生産資材の高騰など農業経営の継続に対する不安が増している中、役職員一丸となって難局に立ち向かっていきたい」と抱負を述べた。

 

 

JAグループ佐賀では、災害対策や生産コストの高騰など個々の農家だけで解決できない農政課題を解消するために様々な農政活動を展開しています。
 今回は令和4年度の主な取り組みについて、ご紹介いたします。

政府が進める食料・農業・農村基本法の見直しについて、農林水産省は5月19日に中間とりまとめ案を公表しました。
 同案では、現行法の中で、凶作や輸入の途絶といった不測時のみについて規定されている食料安全保障の位置づけを見直し、「平時から国民一人一人に食料を届けること」と位置付けています。
また、農畜産物の適正な価格形成に向けた仕組みの構築や輸入に依存している小麦や大豆などの生産拡大、多様な人材による農地の保全・管理等も盛り込まれています。
 なかでも、生産コストの増加を農畜産物の販売価格に反映させる「適正な価格形成に向けた仕組みづくり」は大きな課題です。
 この制度設計にJAグループの意見を十分に反映できるよう、政府等への積極的な働きかけを実施していきます。

 

各分野の主な見直し事項

国土が狭く、農地面積が限られる日本において、米の安定供給や食料自給率の向上等を図るためには、水田を有効活用することが重要となります。このため、国は水田の活用促進、麦・大豆・野菜などの戦略作物の定着(本作化)等を目的として「水田活用直接支払交付金」を措置しています。

 

 同交付金については、農林水産省は令和3年度に見直しを進め、今後5年間に一度も水張りをしない農地を交付対象外とする「5年水張りルール」を打ち出しました。

 国は令和5年度も現場の課題等にかかる調査を行うこととしています。このルールの導入は課題も多く、JAグループ佐賀としても引き続き生産現場の課題を伝え、運用の見直しを求めていくこととしています。

 

昨年は、国際情勢の緊迫化や急激な円安などにより生産資材価格が高騰し、国や県で様々な高騰対策支援事業が措置されました。

肥料については、農林水産省が化学肥料の使用低減に取り組む農業者に肥料コスト上昇分の一部を支援する事業を創設。県においても、秋肥について国の支援に連動した県独自の支援金上乗せ等の支援が実施されました。

 令和4年度2月の県補正予算においては、春肥を対象とした肥料価格高騰対策支援事業が措置されましたので、ご紹介します。

 

前回は、政府・与党が検証・見直しを進めている「食料・農業・農村基本法」の概要と見直しに至った経緯をご紹介しました。
基本法の見直しにJAグループの意思を反映するため、JAグループでは生産現場の実態等をふまえ、基本法見直しに関するJAグループの考え方を決定し、政府・与党に働きかけることとしています。
今回は後編として、基本法の検証・見直しに向けたJAグループの考え方をご紹介します。

現在、政府・与党は、食料・農業・農村基本法の改正に向けた検証・見直しを進めています。この見直しは、今後数十年にわたる農業政策を方向付ける非常に重要なものです。

今回は前編として、食料・農業・農村基本法の概要、検証・見直しに至った経緯を紹介していきます。

食料・農業・農村基本法とは

○ 農業政策の基本的な方向性を示すものとして、当時の経済情勢やWTO体制下での自由貿易等の進展を背景に1999年に制定された。

○ 4つの柱から成り立っており、現在の農業施策(担い手の育成・確保、農村振興など)は、この法律に基づいて実施されている。

○ 食料自給率の向上や、凶作や輸入の途絶などの不測時における食料安全保障についても定められている。

 

1.高病原性鳥インフルエンザとは

高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルスとは、高密度で家畜を飼育する養鶏場で、自然界では無害なウイルスが急速に感染を繰り返すうちに変異したもので、鳥類への強い感染力と高い致死率が特徴です。

10月下旬に岡山県で今シーズン初となるHPAIの発生が確認されてから、過去にないペースで感染が拡大しています。

2.発生した場合の防疫措置

 HPAIウイルスの感染がまん延すると鶏肉や卵の安定供給に支障をきたすことから、発生が確認された場合、発生農業内のすべての家きんは速やかに殺処分・埋却され、鶏舎や物品の消毒、近隣鶏舎も含めた搬出制限などの防疫措置が取られます。本県でも、昨年12月に武雄市の養鶏場でHPAIが発生し、約3万羽が殺処分となりました。

  このような防疫措置や流通段階での衛生管理措置がしっかり行われているため、国 内では感染が疑われる鶏肉・卵が市場に出回ることはありません。また、万が一、感染鶏やその卵を食べた場合でも、HPAIが人に感染することはないとされています。

 

3.感染拡大防止に向けて

 感染拡大防止のため、衰弱または死亡した野鳥に不用意に触れたり、近づいたりしないようにご注意ください。また、海外においては、鳥を飼育・販売している場所や、食用に鳥を解体している場所には、むやみに立ち入らないようにしましょう。

  また、飼育・飼養する鳥類にHPAI感染が疑われる場合は、直ちに家畜保健衛生所に通報をお願いします。

 

令和5年度農林水産関係予算 概算要求 

総 額 

2兆6,808億円 
(2兆2,777億円) 

主な事業 予算額(億円)

持続的生産強化対策事業 

畜産・酪農、野菜、果樹、花き、茶などの生産基盤強化 

201 
(174) 

水田活用直接支払交付金 

水田活用の直接支払等による需要に応じた生産推進、国産小麦・米粉の生産・需要拡大

3,460
(3,050) 

収入保険制度の実施 

収入保険、ゲタ・ナラシ、野菜価格安定対策、マルキン等の経営安定対策の着実な実施 

334 
(184)

マーケットインによる海外での販売力強化 

海外需要開拓、輸出支援プラットフォームによる支援体制強化、品目団体の取り組み強化 

42 
(31) 

サステナブル食品産業モデル実証事業 

食品産業における国産原料への切替促進、価格転嫁の円滑化、流通の合理化 

 
(新規)

みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業 

化学農薬・化学肥料の使用量低減と生産性の高い新品種・技術の開発 

80 
(35)

みどりの食料システム戦略推進総合対策 

堆肥等の活用による化学肥料低減等グリーンな栽培体系への転換、堆肥の高品質化・広域流通の促進 

30 
(8)

スマート農業の総合推進対策 

環境負荷や資材の低減効果が期待できる先進的なスマート農業技術の開発・実証等 

39 
(14)

農地中間管理機構を活用した農地集約化の推進 

農地中間管理機構を活用した農地の集約化、農業委員会による農地利用の最適化の推進

104 
(51) 

農業農村整備事業 

競争力強化・国土強靭化のための農業農村整備の推進 

3,933 
(3,322)

※( )内は令和4年度予算額

 

 

1.令和5年度予算概算要求の概要 

 農林水産省は、今年8月、総額2兆6,808億円の令和5年度予算概算要求を財務省に提出しました。農業の環境負荷低減を目指す「みどりの食料システム戦略」や輸出力強化、スマート農業などが柱になっているほか、食料安全保障の強化が盛り込まれました。 

⑴ 輸出額5兆円の実現に向けた輸出力強化 

 食料・農業・農村基本計画では、2030年に農林水産物・食品の輸出額を5兆円とする目標を掲げています。 
 令和5年度の概算要求では、官民一体となった海外での販売力強化、マーケットインの発想で輸出にチャレンジする農林水産事業者の支援など、5兆円目標の達成に向けた内容となっています。 

 

⑵ 食料安全保障の強化 

 ウクライナ侵攻を契機に課題が表面化した食料安全保障の強化については、予算の要求額を示さない「事項要求」として、予算編成過程で検討することとなりました。 
 輸入依存度が高い農産物や飼料、肥料といった生産資材の自給強化などが焦点になるとみられています。 

 

2.今後の予算編成の動向 

 政府・与党では、12月中旬頃まで5年度当初予算の協議を行い、クリスマス頃に予算案が閣議決定される予定です。大枠は概算要求の内容で決定すると思われますが、閣議決定された内容が報道された際には、ぜひその内容をご確認ください。

 佐賀県協同組合間提携連絡会議は14日、2022年度の提携活動「SDGs川柳コンテスト」(佐賀県生協連企画)の実施結果を発表した。「私が地球と人にできること~身近なことから考えよう~」をテーマに、SDGsと協同組合についての理解促進を目的に構成団体職員から川柳を募り、142作品の応募から、9作品を入賞に選出。玄海漁協、梶山森司さんの「食料品 すぐ食べるから てまえどり」を最優秀賞として表彰した。

 同会議では、県内9つの協同組合が毎年、輪番で活動内容を企画・提案しており、今後も継続的な提携活動により協同組合への理解促進と地域貢献に取り組んでいくため、年間計画等を確認しあった。

令和4年産米の作況(9月25日現在)

 農林水産省が公表した9月25日現在の作柄概況によると、令和4年産米の全国の予想収穫量は、前年比30.4万トン減の670.3万トン(作況100)となり、需給均衡へ国が示していた適正生産量を4.7万トン下回りました。

 

今後の見通し

 同省は、4年産米の需給の目安となる令和5年6月末の民間在庫量を191万~197万トンと見通しています。一般的に、民間在庫量が200万トンを超えると米価が下がり、180万~200万トンの範囲内であれば需給が改善し、米価が安定すると言われています。

 本県では、国から示される需給見通しをもとに、県や農業団体等で構成される「佐賀県農業再生協議会」が毎年12月頃に「生産のめやす」を示しています。

 各地域でも例年と同様のスケジュールで生産組合等へ生産のめやすが示される見込みです。米価の維持・安定に向け、引き続き需要に応じた米の生産にご協力ください。

 農林水産省は、化学肥料の使用低減に取り組む農業者に対して、肥料コスト上昇分の一部を支援する事業を創設しており、県においても、国の支援に連動した県独自の支援金上乗せ等の支援策が措置される見込みとなっています。
 今回は、国と県が行う肥料価格高騰対策事業をご紹介します。

 日本の国家予算の編成・審議は、前年度3月末までの成立を目指して、夏頃から始まります。
 今回は、農業関係予算が成立するまでの流れをご紹介いたします。

 JAグループと農政連(農政協議会)は、農業の実態や農業者の要望に基づいて政府や与党・国会議員に要請活動を行い、所得増大や生産拡大につながるよう働きかけを行っています。

 JAグループ佐賀では、災害対策や生産コストの高騰など個々の農家だけで解決できない農政課題を解消するために様々な農政活動を展開しています。
 今回は令和3年度の主な取り組みについて、ご紹介いたします。

1.突如表明されたIPEF

 米国の国際貿易交渉については、トランプ大統領が政権を担っていた平成29年に多国間広域協定であるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の永久離脱を表明し、二国間交渉を中心に進めていく方針を打ち出していました。  
 そのような中、突如、米国は今年5月のバイデン大統領の来日に合わせ、米国主導の経済圏構想「IPEF(インド太平洋の経済枠組み)」の発足を表明しました。 
 米国は、IPEFをTPPの代替として位置付けてTPP脱退によるアジアでの空白を埋めるとともに、影響力を強める中国に対抗する狙いがあるとされています。 

 

2.IPEFの概要日本の対応

 IPEFは、価値観を共有する国・地域が貿易・投資上の共通ルール(4つの柱で構成)を設定する枠組みで、これまでの貿易協定と異なるのは「関税引き下げ」を求めていないことが大きな特徴です。 
 5月23日の日米首脳会談で、岸田首相は、国際情勢の混乱によりエネルギーや食料安定供給が危機にさらされている昨今の状況について述べ、日本としてIPEFへの参加・協力を表明し、日米含む13か国で協議が進められることとなっています。 

 

日本農業の影響

 IPEFは、従来の自由貿易協定のよう関税の撤廃・削減の協議は含まれていないことから農畜産物への影響はないと見られています。しかし、米国内では、議会や主要農業団体の一部からIPEFにおける関税交渉を求める声が根強く上がっているため、今後の動向を注視していく必要があります。 

 佐賀県農政協議会は23日、県関係与党国会議員5人に対し食料・農業・地域政策の推進に向けた要請書を提出した。コロナ禍や国際情勢の影響により農業者の生産コストが増大し、食料安全保障の危機に直面しているとし、各種課題を乗り越えるための支援を要請した。
 要請は、食料安全保障の強化をはじめ、活力ある産地づくり、生産基盤強化対策のほか、佐賀の重点課題として燃油・肥料等の価格高騰への対応や畜産の堆肥処理と有効活用の促進、生産基盤強化にかかる事業の予算確保等を求めた。
 金原県農政協議会会長は、「燃料や肥料、飼料、資材などの価格高騰で農業者は将来の営農継続に不安を抱えている。農業者が安全・安心な農畜産物を提供できるよう支援をお願いしたい。」と強調した。
 また、同日にはJA全中主催で全国のJA代表者350人が参集、オンラインで4000人視聴のもと食料・農業・地域政策推進全国大会が開催。自由民主党食料安全保障に関する検討委員会 森山裕委員長による講演が行われ、参加者を代表しJAさが大島組合長から政府で検討されている肥料セーフティネットについて、生産現場に配慮した早急かつ漏れのない支援を要望した。


肥料価格高騰への万全な支援を求めるJAさが大島組合長

 JA佐賀中央会は、佐賀市の県JA会館で臨時総会を開き、2022年度事業計画や予算などを決めた。 

JAグループのめざす姿である「持続可能な農業の実現」「豊かでくらしやすい地域共生社会の実現」「協同組合としての役割発揮」に向け、会員に求められる代表機能、総合調整機能、経営相談・監査機能を十分に発揮するよう取り組んでいく。 

 金原壽秀会長は、「2022年度は、第29回JA全国大会決議事項の取組実践初年度であり、持続可能な農業・地域共生の未来づくりに向け、JAグループ佐賀が一致団結して取り組む」とあいさつした。 

 佐賀県農業再生協議会は4月25日、佐賀市内で通常総会を開催し、2021年度事業実績や2022年度事業計画、水田収益力強化活用ビジョンを決定した。

  水田農業の振興方針となる同ビジョンでは、農地面積を維持しながら、消費者・実需者から選ばれる米・麦・大豆づくりや需要の拡大などを推進していくことを決定した。

  そのうえで、水田農業の収益力強化を図るため、2028年までに園芸農業の産出額を888億円にすることを目標とした「さが園芸生産888億円推進運動」と連携し、園芸作物の導入推進や生産拡大等を進めていくこととした。
 
  金原会長は「燃油や生産資材、配合飼料の高騰により、農家はコスト高になっている。政府は緊急対策の調整に入っており、その対応も含めて関係機関が一体となり農家の支援を行っていくことが重要。」と強調した。

  同協議会は、米の需給調整の推進や転作作物の生産振興等を通じて、地域農業の発展を図るため、県やJAグループ、集荷団体等の農業関係団体で組織されている。

 JAグループでは、JA全国大会決議にもとづき「持続可能な食料・農業基盤の確立」を掲げ、多様な農業者の所得確保や省力化・生産性の向上、農業生産の拡大等に取り組んでいます。
 JAグループ佐賀では、平成28年度から本県独自の助成事業に取り組んできましたが、信連・共済連・JAさがの財源拠出により、引き続き令和4年度~令和6年度(事業規模:10億4,580万円)においても「農業者応援事業」に取り組むことを決定しましたので、農業生産の拡大に向けご活用ください。

 

【農業者応援事業の概要(令和4年度~令和6年度)】

部門

事 業 名

事業の概要

経済

フォークリフト導入事業 肥料農薬の満車直行、大型規格等の利用拡大を図るためフォークリフト導入経費を助成
農業資材倉庫取得支援事業 肥料農薬の満車直行、大型規格等の利用拡大を図るため保管倉庫導入経費を助成
中山間地支援農業機械導入事業 中山間地の農業生産の継続、耕作放棄地防止のため乗用型トラクター導入経費を助成
産業用マルチローター導入促進事業 産業用マルチローター(ドローン)のオペレーター教習料を助成
園芸

園芸ハウスリース事業 農家とリース契約を締結する園芸ハウス(JA取得・公社取得)の導入経費を助成
スマート園芸・担い手育成事業 園芸ハウス新設・増設、環境測定装置等の導入経費を助成
露地・雨除け野菜振興対策事業 露地・雨除け野菜用の農業機械の導入経費を助成
果樹推奨品種導入促進事業 県育成品種「佐賀果試35号(にじゅうまる)」の新植・改植実施者に対し助成
お茶生産基盤強化事業 中切りによる茶樹の若返りに取り組む実施面積に対し助成
畜産
酪農


新規畜舎取得対策事業 生産頭数の拡大等を目的に新規畜舎導入経費を助成
畜舎リフォームによる規模拡大対策事業 生産頭数の拡大等を目的に畜舎リフォーム経費を助成
堆肥舎等取得対策事業 環境に配慮した畜産経営を促進するために堆肥舎取得経費を助成
素牛県内自給率向上対策事業  (ET) 繁殖牛基盤維持、基牛の県内自給率向上を 図るためET事業実施経費を助成
生産性向上資材導入対策事業 生産頭数の維持拡大を目的としたICT機器の導入経費を助成
肥育素牛基盤拡充対策事業 規模拡大等により肥育素牛を増頭する農家に対し助成
酪農生産基盤向上事業 規模拡大等により乳牛を導入する農家に対し助成
乳用雌子牛増産対策事業 乳用牛の自家育成により増頭、更新する農家に対し助成
北海道牧場育成牛預託対策事業 優良な公共育成牧場に預託する経費(往復運賃)を助成

 国際情勢の混乱による燃油・肥料・飼料・資材価格の高騰や、コロナ禍による農畜産物の需要低迷、相次ぐ自然災害による農業生産基盤の弱体化など、昨今の農業は様々なリスクに直面していることから、食料安全保障の意義が問われています。

1.食料安全保障とは

全ての国民が将来にわたって良質な食料を安定的に入手できるようにしていくことを「食料安全保障」といい、「食料・農業・農村基本法」において、これを実現することは国の基本的な責務であることを規定しています。

食料は、人間の生命の維持に欠くことができないものであり、かつ、健康で充実した生活の基礎として重要なものであることにかんがみ、将来にわたって、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給されなければならない。

(出典:食料・農業・農村基本法(平成11年法律第106号) 食料の安定供給の確保 第二条)

 

 

2. 食料安全保障に関する検討委員会 発足

 自民党では、諸外国の輸出規制やコロナ禍など不測の事態に対応し、食料を安定して供給するための仕組みづくりに向け「食料安全保障に関する検討委員会」〈委員長:森山裕(衆・鹿児島)〉を発足しました。
 食料安全保障を国家戦略の最重要テーマに位置づけ、必要な法改正・整備も視野に入れた議論が行われています。
 また、JAグループも本検討会において、燃油や資材価格高騰の影響を受ける生産現場の窮状を訴えるとともに、農家やJAが将来にわたり安全・安心な食料を供給していくための支援を求めています。

食料安全保障に関する検討委員会

委員長

委員長代行

顧 問

副委員長

森山 裕

齋藤 健

中谷 元/塩谷 立/小野寺 五典/福田 達夫/野上 浩太郎

金田 勝年/吉野 正芳/坂本 哲志/野村 哲郎/山田 俊男

〇 地域農業を支える家族農業・中小規模農業者の役割は、食料安全保障を確立する上でも重要。

〇 燃油・肥料・飼料・資材価格の高騰が農業経営を圧迫。農家が食料生産を継続できるようコスト低減の支援を要請。

 

1. 輸送を取り巻く状況

 トラックは国内の貨物輸送の約9割を占めており、とりわけ鮮度とスピードが重視される農畜産物では、不可欠な輸送手段となっています。
 そのような中、運送会社では①トラックドライバー不足、②燃料高騰などにより経営がひっ迫しており、輸送費を値上げする会社が増えています。
 従来の輸送体制では、さらなる輸送費の上昇は避けられず、ひいては、輸送が途切れてしまうことにもなりかねません。
 そのため、様々な対策を講じて物流の効率化、運送会社・トラックドライバーの負担軽減を進めていくことがJAや農業者にも求められています。

<輸送費上昇への対策>

① ICTを活用したデジタル化

作業の自動化による荷物の積み下ろし負担軽減、自動運転導入によるドライバーの負担軽減

② 輸送拠点の集約による積載率向上

輸送拠点(ストックポイント)を活用した高積載率での一括輸送

③ 輸送方法の変更

長距離トラック輸送から鉄道・船舶への輸送変更(モーダルシフト)および中継輸送による日帰り運行

④ 輸送パレットの標準化

輸送パレットの標準化による荷役作業の効率化や積載効率の向上

出典:国土交通省(総合物流施策大綱2021年度~2025年度概要、物流総合効率化法の概要をもとにJA佐賀中央会作成)

 

2. 求められる産地の協力

 我々、産地には安全・安心な農畜産物を消費者に届ける責務があります。トラック輸送が立ち行かなくなれば、我々はその責務を果たせなることから、JA・組合員も運送会社の負担軽減に協力し、安定輸送を確保していくことが必要です。

 

1 令和4年度農林水産関係予算 閣議決定し、国会審議へ

 政府は、令和3年度予算比で0.3%減(76億円減)となる総額2兆2,777億円の令和4年度農林水産関係予算を閣議決定し、国会審議が開始されました。
 岸田政権は、先に成立した令和3年度補正予算8,795億円と、4年度予算を合わせ「16カ月予算」と呼び、前年に引き続き総額3兆円を超える予算で、切れ目のない対策を実行するとしています。

 

2.令和4年度予算のポイント

米の需給安定と水田農業の高収益化

 米から需要のある転作作物への転換をすすめる「水田活用の直接支払交付金」について、飼料用米の加算措置が廃止されるなどの見直しが行われ、3年度補正予算で措置された「水田リノベーション事業(420億円)」と一体的に執行し、4年度も大豆や麦、加工用米、野菜等への作付転換を促進するとしています。

・水田活用の直接支払交付金 …3,050億円(前年同額)

 

みどりの食料システム戦略とスマート農業の推進

 化学農薬・肥料の低減や二酸化炭素排出量の削減など環境負荷低減を目指し、令和3年5月に政府が策定した「みどりの食料システム戦略」の実現に向け、モデル的先進地区の創出やスマート農業技術の開発・普及に向けて環境整備を行うとしています。

・みどりの食料システム戦略関連事業 …43.1億円(新規)
・環境保全型農業直接支払交付金   …26.5億円(前年比+2.0億円)
・スマート農業の総合推進対策    …14.0億円(前年比+0.4億円)

 

新規就農対策の強化

 現行の新規就農対策事業の内容を見直し、親元就農者も含めた支援に拡充され、新規就農研修者や経営開始者への資金面の支援や、機械・施設等の導入促進による経営発展への支援を行うとしています。

・新規就農者育成総合対策 …207億円(前年比+2.0億円)

 

輸出5兆円に向け輸出力強化

 令和12年までの農林水産物・食品の輸出額5兆円を目指し、輸出に向け生産を行う産地の支援、輸出環境整備をすすめるとしています。

・輸出5兆円に向けた輸出拡大実行戦略の実施 …107.9億円(前年比+8.8億円)


農林水産物・食品輸出額

 

 佐賀県協同組合間提携連絡会議は26日、SDGsと協同組合に関する研修会をWEBで開いた。当提携連絡会議の構成団体(中央会、信連、共済連、JAさが、生協連、有明海漁協、玄海漁協、信漁連、森林連)の若手職員ら30人が参加。

当連絡会議では、提携活動を毎年各団体の輪番によって実施することとし、初年度は、各協同組合が連携して、地域貢献活動に取り組む第一歩として、当研修会を中央会が担当した。

 日本協同組合連携機構(JCA)協同組合連携部連携推進マネージャーの田中和郎氏が「SDGsと協同組合~地域の持続可能性にどう貢献するか~」と題し講演。日本の協同組合やSDGsの概要について説明し、全国の協同組合間連携によるSDGsの取組事例を紹介した。

 また、持続可能な地域づくりには協同組合間の連携が欠かせないとし、SDGsと協同組合活動を紐づけ、外部に発信していくことを提言した。

 参加者からは、「SDGsの詳しい内容は知らなかったが、持続可能な世界の実現のため17の目標が世界中で取り組まれている。これから、組織活動や生活の中でも意識していきたい」との感想があった。

 今後、当連絡会は継続的な提携活動により、協同組合への理解促進と地域貢献に取り組んでいく。

SDGs研修をWEBにて受講する出席者

 政府・自民党は12月21日、地域の高齢化や人口減少の進展等に対応するため、地域の担い手や農地利用の将来像を描く「人・農地プラン」を法定化する(法令で定める)とともに、将来の農地利用の姿を「目標地図」として策定する方針を定めました。

 また、農政の基本方針である「食料・農業・農村基本計画」で掲げられている中小家族経営体の役割重視の方針を踏まえ、これまでの大規模経営体に加え、農地を継続的に利用する中小家族経営体や、副業的に農業を営む経営体などを担い手として位置付けることとなっています。 

 これらの法定化は、1月17日から開会される通常国会での成立が目指されています。

 

① これまでの人・農地プランは

 人・農地プランとは、農業者が話合いに基づき、地域農業における中心経営体、地域における農業の将来の在り方などを明確化し、市町村から公表するものです。平成24年から全国の市町村において作成が始まりましたが、この中には地域の話合いに基づくものとは言い難いものもあるとされていました。

 そのため、人・農地プランを真に地域の話し合いに基づくものとするべく、アンケートや話合いを通じて担い手・農地の現況把握を行い、農地集約化等に関する将来方針を作成する「人・農地プランの実質化」が全国で取り組まれました。

 ただ、コロナ禍の影響もあり実質化の取り組みに遅れが生じているほか、実質化が終了した地域でも農地の受け手がいない地域が66%もあったなど課題が明らかになりました。

 

② ますます重要となる多様な経営体の協議参画

 皆様の地域でも「目標地図」策定に向けた協議がスタートしていきますが、市町やJA、関係団体もワンチームとなって協議の促進や目標地図の実現に向けて支援を行っていきます。

 特に、今回の見直しにより、地域農業を支える多様な経営体の役割にも着目した内容となることから、経営規模の大小かかわらず、地域の農業経営者全員が主体となって人・農地プランの協議に参画していきましょう。

 JA佐賀中央会は11月1日、8日、12日の3日間、多久市の教育センターで初めて問題解決力アップ研修会を開いた。令和3年度から新たに取り組む「人づくり10年プログラム」の一環。入組9年目程度の職員を対象に、仕事における問題解決力の向上をテーマに行った。

 県内のJA・連合会等の職員44人が参加。仕事を行う上で直面する問題を早期発見するための視点や効果的な解決方法について、グループワークを通して学んだ。参加者は「問題解決をするための論理的な思考を学べてよかった」「今まで感覚的にやってきたことを整理して理解することができた」などと話した。

 講師のJA佐賀中央会教育課の大久保健治郎さんは「問題解決をする時は、その問題の真の原因がどこにあるのかを論理的に見極めるのが大切。皆さんのこれからの業務に生かしてほしい」と想いを伝えた。


P=ホワイトボードを使い熱心にグループワークを行う参加者(11月12日、多久市)

 政府は11月26日、例年この時期に決定している補正予算について、総額8,795億円の規模で閣議決定した。

① 3年度補正予算の特徴

 岸田首相が重点対策として掲げていた米の長期保管・販売支援を措置するとともに、主食用米の削減、麦・大豆の振興等を推進する水田リノベーション事業が大幅に予算積み増しされることとなりました。

 配合飼料価格の高騰に対応するため、財源不足が懸念されていた「配合飼料価格安定基金」の財源措置が行われ、肥料価格高騰への対応として、効率的な肥料施用を促進する「肥料コスト低減体系緊急転換事業」が措置されます。

 

② TPPの国内対策(輸出・基盤強化)

 例年、補正予算ではTPPの国内対策として輸出対策や基盤強化対策が盛り込まれており、3年度補正予算でも輸出促進に向けた産地づくりや、基盤強化対策として高性能機械・施設導入・集出荷施設整備を支援する「産地生産基盤パワーアップ事業」、畜産・酪農の機械装置更新や施設整備を支援する「畜産クラスター事業」が措置されます。

3年度 農林水産関係補正予算の主な内容

総額8,795億円

コロナ影響緩和特別対策(米の特別枠)

 コロナ需要減に相当する15万トンの米穀の長期保管と販売促進を支援 

165億円

水田リノベーション事業

 輸出用米・麦・大豆・野菜・加工用米など需要のある作物の低コスト生産を支援

420億円

麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクト

 麦・大豆の団地化や新技術導入、保管施設等の整備を支援

33億円

畜産クラスター事業

 地域の収益性向上に必要な機械導入・施設整備・家畜導入を支援

617億円

産地生産基盤パワーアップ事業

 産地の収益力強化に必要な高性能機械・施設の導入や貯蔵・加工拠点整備を支援

310億円

配合飼料価格高騰緊急対策

 配合飼料価格安定制度の異常補填基金に所要額を積増し

230億円

肥料コスト低減体系緊急転換事業

 土壌診断や施肥設計をもとに肥料コスト低減体系への転換を支援

45億円

みどりの食料システム戦略緊急対策事業

 有機農業や循環型技術による環境負荷軽の取り組みを支援

25億円

「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」の実施

 海外販路開拓や輸出体制確立、輸出産地の育成、輸出拡大に向けた加工施設・集出荷施設の整備等を支援

432億円

スマート農業の導入支援

 スマート機械の導入(共同購入や共同利用等)を支援

77億円

 JA佐賀中央会は12月1日、2021年度JA経営管理トップセミナーを開いた。県内JA・連合会の常勤役員や幹部職員ら約60人が参加した。自己改革実践サイクルの取り組みへの必要性の理解を深めた。

 農林水産省経営局協同組織課長の三上卓矢氏が「自己改革実践サイクルの構築と実践」と題し講演。取り組むべき改革の方向を示すとともにJAの取組状況や事例を紹介した。6月に閣議決定した規制改革実施計画に触れ、「JAグループにおいて、自己改革を不断に進め、農業者の所得向上に向けた取り組みを継続・強化し、地域農業を支えるJA経営の持続性の確保を図る必要がある」と説いた。また、JAが総合事業体として機能を発揮するため「持続可能な収益性」・「将来にわたる健全性」に着目した早め早めのモニタリングを行う「早期警戒制度」の導入に向け、JA自らの経営管理・経営改善の必要性を訴えた。

 その他、自己改革実践サイクルに向けたJAグループの具体的な対応方針に関して、JA全中JA改革・組織基盤対策部が作成した動画を視聴し、組合員に対して取り組みを見える化することを学んだ。

 今後、JAは、農家所得向上の目標を含む自己改革の方針などを総代会に提出するとともに、改革の実践、組合員の評価を踏まえて改善を繰り返す「自己改革実践サイクル」を構築する。

 佐賀県農政協議会は11日、県関係与党国会議員5人に対し食料・農業・農村政策の推進に向けた要請書を提出した。国の食糧・農業・農村基本計画で掲げる食料安全保障の確立に向けては、コロナや生産基盤強化対策をはじめ、水田・園芸・畜酪対策、農村振興等の各種対策が必要とし要請した。

 要請では佐賀の重点課題として、産地主導による主食用米からの転作を支援する産地交付金の予算確保や次年度の新規就農対策にかかる財政措置のほか、最近の燃油価格・配合飼料価格高騰を踏まえた農家負担軽減、予算確保を求めた。

 金原県農政協議会会長は、「頻発する災害被害に加え、燃油・資材・飼料価格高騰など農家の努力だけでは解決できない課題が山積している。基本計画の実現に向け支援をお願いしたい」と強調した。


基本計画の実現に向け支援を求める県農政協役員ら

 9月29日の自民党総裁選により、岸田文雄議員(衆・広島)が新総裁として選出されました。10月4日の臨時国会で首班指名が行われ、岸田内閣が発足し、農林水産大臣には、党農林・食料戦略調査会副会長などを歴任してきた金子原二郎議員(参・長崎)が就任しました。
 岸田首相は今後の経済対策や農業関連対策について、次のとおり取り組むとしています。

1.経済対策

 岸田首相は、新型コロナウイルス対策を最優先課題に挙げ、「速やかに経済対策を措置していく」と述べており、12月の国会審議に向け早急に取りまとめが行われています。

経済対策の柱
  • コロナ拡大防止
  • 社会経済活動の再開・危機管理の徹底
  • 地方活性化を含めた新しい資本主義
  • 国民の安全・安心確保(防災・減災、国土強靭化)

 

2.農業関連対策

 従来からJAグループが求めていた家族農業や中山間地域農業の維持などが表明されまました。また、農業を成長産業として位置づけるとともに、直近の課題として、米の需給・価格対策を挙げています。

岸田首相の発言概要

家族農業・中山間対策

  • 家族農業や中山間地域農業を含め、農業・農村の多面的機能を発揮し、多様で豊かな農林水産業を構築する。

農林水産業の成長産業化

  • 農林水産業の成長産業化(輸出力強化、デジタル技術の活用、地域ブランドの確立による高付加価値化)を進める。
  • 日本型直接支払制度の着実な実施により多面的機能を維持する。
  • 成長産業化の核となる新規就農支援を強化する。

米の需給対策

  • 野菜などの需要のある作物への転換を強化する。
  • 現在の長期販売支援(保管・販売後送り)の37万トンのうち、15 万トン(新型コロナによる需要減の相当数量)は特別枠として支援を強化。

1. 令和4年度予算概算要求の概要

 農林水産省は、令和3年度当初予算比で16.4%増(3,792億円増)となる総額2兆6,842億円の令和4年度当初予算概算要求を財務省に行いました。農業の環境負荷軽減を進めるみどりの食料システム戦略関連対策が新たに要求されたほか、新規就農対策が変更・拡充、米の転作助成や輸出対策も拡充で要求されています。

(1)みどりの食料システム戦略関連施策を新たに要求

 国は農業の環境負荷軽減を促進する取り組みとして「みどりのシステム戦略」を提唱し、2050年までに化学農薬の50%低減や有機農業面積の25%(100万ha)拡大、温室効果ガスの排出削減等を目指しています。令和4年度の概算要求では、環境負荷軽減に資するスマート農業技術や有機農業を促進するための事業が新設される予定となっています。

(2) 新規就農対策を見直し強化

 近年の新規就農者数は全国的に減少傾向にありますが、現行の新規就農対策は就農当初の生活支援に重点が置かれ、持続的な経営発展に向けた支援が十分ではありませんでした。

令和4年度の概算要求では、事業内容が見直され、親元就農者も含め新規就農者(49歳以下)の経営開始資金として最大1,000万円を支援する事業が要求されています。

見直しにより、就農の選択肢が広がり、これまで以上の新規就農対策強化が期待されます。

令和4年度農林水産関係予算 概算要求に係る主な内容
総 額

2兆6,842億円
2兆3,109億円

主な事業

予算額
単位:億円

持続的生産強化対策事業
 野菜や果樹、茶、花などの生産性向上や販売力強化、地方公共団体の産地強化に向けた支援

199
169

水田活用の直接支払交付金
 麦、大豆や飼料用米などへの助成や産地交付金による産地支援、水田リノベーション事業を措置し水田転作を促進

3,320
3,050

強い農業づくり総合支援交付金
 集出荷施設等の基幹施設整備やみどりの食料システム戦略関連の施設整備を支援

193
142

収入保険制度
 加入者の収入が基準の9割を下回った場合、差額の9割まで補填

206
177

みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業
 農家が活用する技術改良やスマート農業技術、ペレット堆肥の活用に向けた実証を支援

65
(新規)

みどりの食料システム戦略推進総合対策
 地方公共団体のビジョンに基づき有機農業や再生可能エネルギー導入等に取り組むモデル地域を支援

30
(新規)

持続的経営体支援交付金
 地域の人・農地の将来方向を定める「人・農地プラン」で、農地の受け手に位置付けられた多様な経営体の農機・施設整備を支援

120
(新規)

新規就農者の育成・確保
 親元就農含め新規就農者の初期投資の支援、新規就農を目指す研修生の支援、支援組織の研修農場の整備を支援

236
205

農業農村整備事業
 農地の大区画化や防災重点農業用ため池対策、田んぼダムの取り組みを支援

3,946
3,333

鳥獣被害防止対策・ジビエ利活用の推進
 広域捕獲体制の構築や処理加工施設の整備等を支援

160
122

多面的機能支払交付金
 農地を維持する地域活動等を支援

490
487

中山間地域等直接支払交付金
 棚田を含む中山間地域での農業生産を支援

268
261

※( )内は令和3年度予算額

 今年8月中旬、前線の影響により線状降水帯が発生・停滞し、記録的な豪雨となりました。県内では各地で浸水被害が発生したほか、農畜産物や農地・農業関連施設においても甚大な被害が発生しました。
棚橋防災担当相は8月31日の記者会見で激甚災害の指定を発表し、農地・農道・水路などでは県内全域が対象になる「本激」となり、国庫補助率がかさ上げされることになる見込みです。(9月1日時点)

1.激甚災害制度とは 
大規模な災害が発生したときに、その災害を激甚指定し、地方財政負担の緩和や被災者の特別助成措置により復興・復旧を促進するものです。具体的には、地方公共団体の行う災害復旧事業等への国庫補助がかさ上げ、被災者への貸付制度・災害保証の特例措置が設けられます。
1990年代は激甚災害の指定基準が厳しく、指定されたのは1995年の阪神・淡路大震災のみであり、かねてより制度の形骸化が指摘されていました。このため、1999年の激甚災害法改正で指定基準が大幅に緩和され、以後、ほぼ毎年、全国規模の災害は激甚災害に指定されるようになりました。 

2.本激と局激
列島を縦断した台風や大震災など、地域をくぎらずに災害そのものを指定する「本激」と、局地的豪雨などを市町村単位で指定する「局激」があります。本激も局激も、特例措置の内容に違いはありませんが、本激の方が適用される特例措置の数が多いという特徴があります。

 JA佐賀中央会は7月19日、8月4日、6日の3日間、多久市の教育センターで初めてコミュニケーション研修会を開いた。令和3年度から新たに取り組む「人づくり10年プログラム」の一環。入組5年目程度の職員を対象に、職場におけるコミュニケーションスキルの向上をテーマに行った。

 県内のJA・連合会等の職員約60人が参加。仕事におけるコミュニケーションの重要性や相手を尊重した「聴き方」、相手に伝わりやすい「話し方」のスキル、報告・連絡・相談の具体的なポイントを学ぶとともに、グループ内で「聴き方」、「話し方」のワークを実践した。参加者は「自分の努力次第でコミュニケーションのスキルを伸ばすことができることが分かった。前向きに頑張っていきたい」と話した。

 講師のJA佐賀中央会教育課の井上晋一さんは「自らコミュニケーションの場に飛び込んでスキルアップを目指しましょう」とエールを送った。

1.世界情勢

産油国で構成するOPEC(石油輸出機構)では、昨年の5月頃から新型コロナウイルス感染拡大により原油の需要が急減したため、大幅な減産を始めました。

最近では、世界的にワクチン接種が進み、欧米を中心にコロナ禍からの景気回復が進み始めたことから原油消費も増え始め、原油価格が高騰し始めました。

今年7月にOPEC会合があり、増産の決定が期待されていましたが、8月以降の増産について合意することができず、原油価格は高値で推移することが想定されます。

 

2.燃油価格高騰リスク低減に向けた支援

原油価格の上昇により、施設園芸やお茶の製造に必要なA重油・灯油の価格も上昇傾向にあります。

佐賀県農政協議会では、平成25年度から国の事業として措置された燃油価格高騰対策に取り組んでおり、JAでは同対策の活用による農家の支援に取り組んでいます。

最近の燃油価格上昇により、価格補填を行うセーフティネットが7年ぶりに発動されており、7月末現在で、施設園芸では3月~5月購入分までの発動が決定、お茶でも4月分~5月分購入分までの発動が決定しています。

【施設園芸・茶セーフティネット事業にかかる発動状況(県全体・7月末現在)】

R3年 3月 R3年 4月 R3年 5月

施設園芸

発動基準価格 84.8円/ℓ

補填単価 1.68円/ℓ 3.43円/ℓ 3.78円/ℓ
補填額
(半額農家積立)
5,296,668円 3,721,744円 とりまとめ中

発動基準価格
80.6円/ℓ

補填単価 対象期間外 8.6円/ℓ 9.1円/ℓ
補填額
(半額農家積立)
2,636,422円 1,764,222円

JAグループ佐賀の事業紹介パンフレット

 

 

JA佐賀中央会は「助け合いの組織」である協同組合のひとつです。
佐賀県の協同組合の取り組みを紹介するパンフレットを佐賀県協同組合間提携連絡会議が作成しました。

 

1.注目を集める選挙時期

 衆議院議員の任期が令和3年10月21日に満了することを踏まえ、衆議院議員の解散時期が焦点となっています。7月23日~9月5日は東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、総選挙の日程はパラリンピック閉幕後に絞られています。

2.選挙を前に農政を振り返る

 近年、TPP・日米貿易協定などが発効される中、政府・与党は農畜産物の関税削減には慎重姿勢で交渉するとともに、TPP等関連政策大綱による国内対策を都度措置してきました。

 また、農業政策の中長期方針である食料・農業・農村基本計画では、中小・家族経営の農業者などが地域社会や農業生産基盤を維持するために重要な役割を果たしていると評価し、経営規模の大小や地域条件にかかわらず農業経営の底上げを図ることとしています。

 最近では、政府は新型コロナウイルス感染拡大の影響緩和対策として、3度にわたる補正予算を措置し、コロナの影響を受ける農業者の経営継続支援や、資金繰り対策などを措置してきました。

 衆議院議員総選挙は、今後の農政の方向性を左右する重要な選挙です。これまでの重要局面における政府・与党の取り組みを改めて確認・評価し、農政運動を通じて真に農業に理解ある代表者を国政に送り出す必要があります。

年月 内容
H29.10 【第48回衆議院議員総選挙】
H30.12 【TPP11発効】
政府は補正予算において「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づき総額5,027億円の国内対策を措置
H31.2 【日EU・EPA発効】
輸入:チーズ等重要品目で関税削減されたが、国内対策として酪農向け奨励金が措置
輸出:牛肉や緑茶等の主要関心品目のほとんどが撤廃され輸出しやすい環境に
R1.7 【第25回参議院議員通常選挙】
R2.1 【日米貿易協定発効】
政府はTPP等関連政策大綱を改定し、日米貿易協定などへの対応として3,250億円の補正予算により国内影響緩和対策を継続措置
R2.3 【食料・農業・農村基本計画の見直し】
食料安全保障を計画の柱に位置づけ、中小・家族経営などの多様な担い手の役割を評価
R3.1 【日英EPA発効】
輸入
新たな英国枠を設けず日EU・EPA枠内
輸出:
主要関心品目で関税が撤廃され輸出しやすい環境に
R3.3 【改正農協法5年後検討条項の期限】
政府はJA自己改革の進捗を評価。JAグループは「不断の自己改革」を進めることを表明
削減・撤廃から除外

 佐賀県農政協議会は16日、佐賀市内で通常総会を開いた。
2021年度の運動計画等を承認し、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける農業者の経営継続支援と、コロナの教訓を踏まえた食料・農業・農村対策の強化を最重要課題として取り組むことを確認した。
 金原会長は、「農業生産基盤を強化し、国が掲げる食料安全保障の確立を図るため、政府・与党への要請を強めていきたい」と決意を示した。


農政運動を強化し佐賀農業発展につなげると強調する金原会長(写真 左)