日米貿易協定の共同声明に署名、合意内容を巡り、十分な議論を
安倍首相とトランプ米大統領は9月26日、米国で開かれた首脳会談で共同声明に署名し、貿易協定は最終合意に至りました。政府は、10月からの臨時国会に協定承認案を提出し、早期承認を目指していますが、十分な議論を行って、合意内容の検証が必要です。
日本政府は、コメを完全に除外したことやTPP枠の33品目で米国枠を措置しなかったことなど、TPPの範囲内で合意できたことを強調している一方で、米国政府は、TPP11の参加国と同等の競争条件が確保されたことなどを強調しています。 安倍首相とトランプ米大統領は9月26日、米国で開かれた首脳会談で共同声明に署名し、貿易協定は最終合意に至りました。政府は、10月からの臨時国会に協定承認案を提出し、早期承認を目指していますが、十分な議論を行って、合意内容の検証が必要です。
主な合意内容 |
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米 |
調整品なども含めて関税撤廃・削減から「除外」。輸入枠も設けない |
牛・豚肉 |
TPPと同様に削減。 発効と同時にTPP加盟国と関税率が並び、同じペースで削減 |
乳製品 |
TPP枠を有する脱脂粉乳・バター等は「除外」ホエイ・チーズなどはTPPと同様の内容 |
小麦 |
TPPと同様にマークアップを削減。最大15万tの特別枠を設定 |
園芸関連 |
TPPと同じ内容もしくは除外 |
牛肉のセーフガード(緊急輸入制限措置=SG)の発動基準に課題
TPP11のSG発動基準数量は、米国からの輸入数量を含んだままとなっています。日米貿易協定では、米国からの牛肉輸入にTPPとは別枠のSGを設けています。ことため、米国とTPP参加国からの輸入量を合わせると、TPPで設定したSGの発行基準数量を超えるのではないかと懸念されています。
政府は、2022年までにTPP参加国に修正を求める考えですが、参加国が見直しに応じるのか不透明な状況です。
国内対策(TPP等関連政策大綱)の拡充を
政府は、市場開放に備えた国内農業の強化策である「TPP政策大綱」を見直す方針を示しました。具体的な見直しを巡っては、意見を集め、改定内容に反映させることとしており、対策の予算額も今後の焦点となっています。
JAグループでも、政府・与党に対して、今回の市場開放による影響を把握した上で国内の生産現場を見据えた国内対策など施策拡充を要望していきます。