日本人の主食である米について、国はもしもの時に備え「備蓄米制度」という制度にもとづき米を買い入れ、保管しています。
備蓄米制度
備蓄米は主に政府が凶作時の供給不足に対応するため、一定量(10年に1度の不作にも耐えられるよう100万t程度が目安にされている)を保管している米のことです。
政府は毎年約20万tの米を買い入れ、保管期間(約5年)を過ぎた米は飼料用米などとして売却しています。
【備蓄方式の変遷】
回転備蓄方式【2011年度方向転換前】
- 数年保管してから、主食用として販売する。
- 保管期間が短い(1年~2年)
- 出来秋以降に買い入れ
棚上げ備蓄方式【2011年度方向転換後】
- 数年保管してから、主に飼料用等として販売する。
※非常時は主食用米として供給 - 保管期間が長い(5年)
- 買い入れ時期を柔軟に設定可能。
備蓄米が抱える課題
18年産の入札では買い入れ枠20万tに対し、落札量は12万3,000t、落札率は61%となっています。主な要因としては、主産地で主食用米を増産する動きが出たことなどが挙げられます。このため、19年産については政府の提示する価格が生産現場の意欲を高めることができるかどうかがカギとなります。
その一方で政府は、備蓄米の落札率の向上のために19年産において次のような制度の変更を行いました。
2019年産備蓄米の焦点!
TPPの国内対策として買い入れ枠を20万9,000tに拡大する。
昨年12月末に発効したTPPにおいて、発効から1~3年目の間、日本はオーストラリア向けに6,000tの米の輸入枠(最終的には8,400t)を新設しました。この枠とほぼ同量の国産米を優先的に備蓄米として買い入れることで、輸入米の増加が国産米の需給や価格に与える影響を遮断するという狙いがあります。
今後の取り組み
備蓄米は市場から切り離すことで需要への影響をなくすことになっていますが、潜在的には民間在庫量と併せた数量が供給可能な数量と見られ、米の供給量や価格に少なからず影響を与えています。
JAグループとしては備蓄米の落札状況(数量や落札価格等)を注視するとともに、輸入枠分の優先的入札や落札率が低調とならないよう、備蓄制度の適切な運用を政府に対して求めていきます。