米は日本人の食生活の基本。しかし、食の多様化や少子高齢化による食生活の変化から、国民一人あたりの米の消費量は約50年で半分以下に減少しています(昭和40年111.7kg、平成29年54.2kg)。
主食用米の需要量も、近年は年間8万トンの減少で推移していましたが、直近の3年間は年間10万トンの減少と減少幅が拡大しています。
そのようななか、50年続いた国による生産目標数量の配分が廃止され、平成30年産以降は、各地域の自治体やJAにより構成される「農業再生協議会(再生協)」が「生産のめやす」を示し、需要に応じた米の生産を呼びかけています。
〇19年産主食用米の動向
農水省は5月末、2019年産の主食用米の作付意向の調査結果(4月末現在)を発表しました。前年対比で同程度と見込むのは32都府県となっています。一方で、減少傾向としたのは15道府県であり、佐賀県もその一つです。増加傾向とした県はありませんでした。
18年産の主食用米は、作付面積の増加から過剰生産の恐れがありましたが、水稲の作況指数が「98」と「やや不良」となった結果、国が示した適正生産量の枠内に収まりました(佐賀県は作況指数「102」)。
19年産の適正生産量は需要動向を踏まえ718~726万トンと見込まれ、18年産よりも7~15万トン減ることになります。18年産と同等に作付する県が多い場合、平年並みの作柄となれば、供給が需要を上回ることになり、米価が下落する恐れがあります。
〇政府備蓄米の状況と農水省の取り組み
19年産政府備蓄米の累計落札率は、年間枠(209,140トン)に対して85%となりました(5月23日、第7回入札時点)。佐賀県の累計落札率は100%となっていますが、全体で3万トン以上の落札残がある状況です。
農水省は、19年度の産地交付金で、主食用米の面積を減らして高収益作物の作付を拡大した場合の助成を拡充する方針を示しています。その中で、秋田県や新潟県等10県を重点県に設定し、幹部職員が産地に出向いて需要に応じた生産、販売を促すキャラバン活動を推進しています。同省は、営農計画書の提出期限である6月末まで、転作の推進を続ける考えです。
〇本県の取り組み
佐賀県では、主食用米の需要が減少するなか、需要に応じた主食用米の生産に取り組むとともに、経営所得安定対策等を活用し、麦・大豆の主産県として高品質で安定的な戦略作物の生産・供給を進めています。
また、19年度から水田で収益性の高い野菜振興をめざす「さが園芸生産888億円推進運動」を展開し、水田フル活用による農業生産拡大に取り組んでいます。
今後も、消費の動向を注視しながら、農家の所得増大に向け、需要に応じた生産を継続して取り組む必要があります。