政府は令和元年度補正予算と令和2年度政府予算案を閣議決定しました。1月に召集される通常国会に提出されます。
農林水産関係予算は、元年度補正予算が5,849億円、2年度当初予算は総額2兆3,109億円(前年度比+1億円)となり、当初予算が2年連続で増加するのは6年ぶりです。
1.今回の特徴・経過
令和元年は、統一地方選・参議院選、日米貿易協定の合意、食料・農業・農村基本計画の見直し、農協改革集中推進期間の終了等、今後の農政にとって、節目の年でした。JAグループでは、3回にわたって全国集会を開催する等、政府・与党に対する働きかけを強めながら、要請内容をさらに絞り込み、10~12月には重要な農業政策を決定する自民党農林インナー等に重点的に要請活動を展開しました。
これらを受けて、政府は対応の考え方を「農業生産基盤強化プログラム」としてまとめました。輸出を拡大するとともに、中山間や中小・家族経営を含め、幅広く生産基盤を強化すると打ち出し、今回の予算等に反映されています。
JAグループ佐賀では、これらの政策の活用とJA自己改革の実践により、本県農業振興に努めてまいります。
2.畜産クラスター事業等での要件緩和等を措置
12月に決定した「農業生産基盤強化プログラム」では農業生産基盤強化対策について、「中山間地域や中小・家族経営を含め幅広く生産基盤を強化」と明記されました。このため、畜産クラスター事業等で規模要件緩和等の措置が行われることになりました。
園芸関係でも産地パワーアップ事業の要件柔軟化のほか、燃油価格高騰対策は3年延長し、発動基準価格が引き下げられました。また、野菜価格安定対策事業では基金残高と予算措置をあわせて十分な基金規模が確保されました。
2020年度農林水産関係予算案のポイント | |
総額 |
2兆3,109億円 |
主な事業名 | 予算額(億円) |
水田活用の直接支払交付金 | 3,050 (3,215) |
農業農村整備事業 | 3,264 (3,260) |
人・農地プラン実質化と農地中間管理機構による集積・集約 | 212 (196) |
中山間地域等直接支払交付金 | 261 (261) |
家畜衛生等総合対策 | 101 (48) |
農業次世代人材投資事業 | 160 (155) |
農林水産物・食品の輸出力強化へ政府の司令塔組織を創設 | 12 (新規) |
輸出向けHACCP等対応施設の整備 | 15 (新規) |
スマート農業総合推進対策事業 | 15 (5) |
※( )内は2019年度予算額 |
3.水田活用直接支払交付金は高収益作物を重点化
農業関係予算の中で、水田活用の直接支払交付金(転作助成金)は3,050億円(補正後予算比+89億円)と増額されました。都道府県単位で交付内容を決定する産地交付金については、転換作物拡大加算は、地域再生協議会単位で主食用米生産が減少し、転換作物の面積が元年産よりも拡大した場合に1.5万円/10a。高収益作物等拡大加算(園芸作物等)も同様な場合に対し3.0万円/10aが助成される見込みです。