食料・農業・農村基本計画の内容
同基本計画は、食料・農業・農村に関し政府が中長期的に取り組むべき方針をまとめたもので、概ね5年ごとに見直しが行われています。今回、令和2年3月31日に新たな基本計画が決定されました。
農業を産業として成長させる「産業政策」と農業・農村の多面的機能(良いところ)を維持・発展させていこうとする「地域政策」を車の両輪として推進し、食料安全保障(食料を安定的に供給すること)の確保に取り組むこととされました。
主なポイント
●食料安全保障
現在の食料自給率は37%であり、私たちが食べている食料の半分以上は外国産に頼っています。新たな基本計画では、「食料安全保障」が柱に位置づけられており、食料自給率は令和12年度に45%にする目標です。
●多様な担い手の育成
中小・家族経営など、多様な担い手が地域社会で果たしている役割を評価し、経営規模の大小や地域条件にかかわらず農業経営の底上げを図る施策を展開することとしています。
●地域政策
地域資源を活用した所得・雇用確保や農村の整備、農村を支える活力創出に取り組み、小規模農家や副業・兼業農家も関わりながら農村の多面的機能の維持・発展を図ることとしています。
高まる食料安全保障の重要性
世界人口の増加に伴う世界全体の食料需要の増加、相次ぐ気象災害、新興国の台頭等に加え、ここにきて世界的な新型コロナウイルス感染拡大。人の動きが制限され世界では人手確保の目処が立たず、農業生産が縮小する恐れが出始め、輸出制限や国内備蓄といった動きも生じ始めていると言われています。
多くの食料を他国に依存している日本は食料の安定確保が難しくなりかねません。そのような状況だからこそ、新たな基本計画で定める食料安全保障の確保や食料自給率の向上に向け、国内農業生産基盤の維持・強化等の施策の具体化が重要となります。