1.緊急需給調整事業とは
露地で栽培される野菜は天候の影響を受けやすく、作柄・価格の変動が大きいことから、価格と供給の安定を図ることが重要であるため、国の事業として緊急需給調整事業が措置されています。(タマネギ、キャベツ、レタス、ダイコン、ハクサイ、ニンジンの6品目が対象) 具体的には、国と生産者が拠出した資金を用いて、価格下落時には出荷抑制、加工用途への販売切り替え、フードバンクへの提供等を行い、価格高騰時には産地への出荷促進を行うことで需給の安定をはかることを目的としています。
2.高まる緊急需給調整事業の役割と事業の見直し
昨今、天候異変やコロナ禍に起因した価格暴落が頻発化しており、生産面積や生産者数の減少など生産基盤がぜい弱化することが危惧されています。このことから、緊急需給調整事業の役割が増しています。 しかしながら、「需給調整を行わない産地・事業者との不公平感」や「緊急需給調整を行う生産者の利点の少なさ」等の課題があり、事業活用が少なく価格調整機能が発揮できていませんでした。 これらの課題に対応するため、農林水産省は事業対象者を拡大するとともに、生産者メリットを拡充することにより、適切に緊急需給調整事業が発動され、需給と価格の安定機能が発揮できるよう、以下のとおり事業の運用見直しを行いました。
〔緊急需給調整事業の見直し内容〕
補填水準 |
市場平均価格の3割(加工用振り向けなどは4割) |
→ | 市場平均価格の7割に統一 |
資金の負担割合 | 国:生産者=1:1 | → | 国:生産者=4:1 |
メニュー再編 |
① 出荷の後送り ② 加工用販売 ③ 市場隔離(土壌還元など) |
→ |
① 出荷抑制(やむを得ない場合を除いた廃棄は原則、対象外) ② 加工用販売 ③ 市場隔離(フードバンク提供など有効利用) |
※4月1日以降の取り組みから適用