JA佐賀中央会

農政を学ぼう 〜農政ニュース〜

さらなる海外市場の開拓に向け輸出を促進 ~2019年の農林水産物・食品の輸出入をめぐる情勢~

1.2019年の輸出実績、農作物は着実に増加

農林水産省は、2019年の農林水産物・食品の輸出実績(速報値)を公表しました。輸出実績は、7年連続で 過去最高を更新したものの、政府が目標としていた1兆円には到達しませんでした。
農産物は、畜産品(前年度比+7.3%)、穀物等(同+8.3%)、野菜・果実等(同+5.2%)と着実に増加しています。

2.TPP11・日欧EPAの発効から1年、牛肉輸入量は微増

TPP11、日欧EPAの発効から1年が経過、和牛の価格が低価傾向にあるなか、堅調に推移する国内需要を背景に、牛肉の輸入量は対前年同期比+1%となりました。国別の輸入量は、カナダやニュージーランド、メキシコ等TPP11加盟国からの輸入量が増加した一方で、米国、オーストラリアからの輸入量が減少しています。

オーストラリアからの輸入量の減少は、中国でASF(アフリカ豚熱)の感染が拡大、豚肉生産量の減少に伴って食肉の輸入量を増加していることが 影響していると考えられます。

1月に日米貿易協定が発効し、米国からの関税がTPP11と同等まで引き下げられました。輸入量と国内価格の動向をより一層注視していく必要があります。

3.さらなる輸出拡大に向けて働きかけ

TPP11等によって、輸入圧力が高まっているなか、農林水産省は、令和2年4月1日から農林水産物・食品輸出本部を設置します。輸出促進に関する 基本方針・実行計画の作成や輸出先国の規制緩和・撤廃をはじめとした協議の加速化を図ることにしています。具体的には、輸出に必要な証明書の申請・交付をワンストップ化するためのシステムを構築、輸出に有利な国際的検疫 基準の確立等を支援することにしています。

新型コロナウイルスの感染拡大による影響の広がりが懸念されるところですが、JAグループでは、放射性物質や動植物検疫に関する規制の早期撤廃など、農産物の輸出拡大に向け、引き続き政府・与党に働きかけていきます。

アーカイブ