1.自然災害と農業用ため池
農業用ため池は、農業用水を確保するため造られたものです。ため池はそれ以外にも洪水調整や土砂流出防止、伝統文化の発祥、景観形成など、多面的な機能を有しています。
しかし、農家数の減少等により、ため池の維持・管理機能が弱体化し、老朽化するため池が増加。さらに、昨今の相次ぐ自然災害によりため池が決壊する事故が多発しています。
2.ため池防災工事推進特措法をめぐる協議
このような情勢を踏まえ、決壊した場合に人的被害が発生するリスクがあるため池について、耐性調査や決壊防止の工事を促すための法案が超党派の議員立法により6月12日に成立しました。
事業実施費用を国が支援することとなっていますが、今後は十分な予算確保がポイントとなっています。
【法案のポイント】
- 農業用ため池の調査を推進
- 都道府県が整備すべきため池を指定し防災工事計画を策定
- 事業実施費用を国が支援
- 都道府県が工事実施者へ技術指導
- 2030年度末までの時限立法とし、施行後5年間で整備計画を検証
3.佐賀県のため池事情
農業用ため池の中でも、決壊した場合に周辺家屋や浸水被害を及ぼすおそれがあるため池を「特定農業用ため池」に指定しており、佐賀県の農業用ため池2,668個所のうち1,105個所(約41%)が「特定農業用ため池」に指定されています。(令和2年3月31日時点)
佐賀県においてもため池の防災点検・調査を強化し、必要な対策が講じられることとなっています。
今後もため池が多面的機能を発揮できるよう整備していくためには、受益者・管理者である農家の役割がますます重要になります。