EUとのEPA(経済連携協定)が今年2月1日に発効することになりました。昨年12月30日に発効したTPP11(米国を除く11カ国による環太平洋連携協定の新協定)と併せて、日本は過去に経験したことのないほどの農産物の市場開放を迎えることになります。
海外からの安い農畜産物の輸入は国内の農業に大きな影響を受けると試算されており、畜産・酪農はそのうち9割を占めると言われています。
1.各種協定発効による農産物への影響(政府による試算)
協定名 | 発効日等 | 国内農林水産物の生産減少試算額 |
TPP11 | 平成30年12月30日 | 900~1,500億円 |
日EU・EPA | 平成31年2月1日 | 600~1,100 |
合計 | 1,500~2,600 | |
日米TAG | 平成31年1月に交渉開始? | ??? |
2.近年の国際貿易交渉は農業分野を交渉カードの1つとしている!?
- EU産の安い豚肉やチーズの輸入が増加すると、消費者側は安く購入できる可能性がありますが、実際にどれほど安くなるのかは現時点では不透明です。
- さらに、農産物輸入の動向が変化することで、国内の食料自給率が下がってしまうことが予想され、「食料・農業・農村基本計画」において示されている食料自給率の向上(目標:カロリーベース45%)という政府の方針とも整合性が取れていないことから、将来像をどのように描くのか、国の役割が問われています。
- 関税は交渉によって引き下げたりするものではなく、そもそも国土や気候、生産量が全く異なる国同士、それぞれの国の主権として、自国の産業を守るために適正な割合で設定すべきではないかと考えます・・・
- また、近年のTPP・TAG等を含む近年の国際貿易交渉では、工業製品の輸出拡大を図る一方で、農産物の輸入量等が増大してしまうという構図が続いています。
3.JAグループとしての対応
協定の発効が日本農業に与える影響について、政府が十分な検証と万全な予算措置や関連法制度の整備を進めるよう引き続き求めていくと共に、協定発効後の動向等を注視し、組合員への情報提供に努めていきます。