1.食料安全保障の確立に向け議論がすすむ
数々の経済連携協定や人口減少の局面のなか、農水省が次期食料・農業・ 農村基本計画(以下、次期基本計画)の検討に向けて提出した資料では、何もしなければ20年で農業従事者、農地は大きく減少すると見込まれています。我が国は 現在、国民に食料を安定供給し続けることができるかという大きな岐路に立たされています。
そのようななか、3月の閣議決定を目指して、食料・農業・農村政策審議会 企画部会などで次期基本計画の策定に向けた議論が行われています。与党の農業基本政策検討委員会では、食料安全保障を担う中山間地や家族経営、兼業農家への支援に向けた意見が出されています。
【農水省が示した次期基本計画の検討に向けての基本的な考え方(一部抜粋)】 | |
経営政策 |
・円滑な事業継承の観点から農業経営の法人化を推進 |
農村政策 | ・中小・家族経営も重視し、営農条件に応じた経営を推進 ・農泊などを「関係人口」の拡大と関係深化に結び付ける |
2.食料安全保障の確保と中小・家族経営の重視等を次期基本計画への反映を求める
次期基本計画の策定にあたり、JAグループは、「次期基本計画に対するJAグループの提言」をまとめ、食料安全保障に資する基本政策を確立する観点から、生産面・消費面で具体化をすすめることを強く求めてきました。
昨年12月に制定された「農業生産基盤強化プロクラム」には、「中山間地域や中小・家族経営も含め、幅広く生産基盤の強化を図る」と明記され、これまで重視してきた規模拡大や競争力強化だけでは地域農業や農村の存続が難しくなっている現状をふまえて多様な農業を後押しする必要性を強調するなど、JAグループの提言に基づく内容が盛り込まれました。
1月にベルリンで開かれた世界各国・地域の農相が集まる会合では、貿易の促進と併せて、農業生産基盤の強化や小規模農家・女性農業者らへの 支援を盛り込んだ共同宣言が採択され、江藤農相は、規模の大小を問わず農家を支援することを改めて表明しました。
共同宣言等により、小規模農家への支援について世界の共通した認識が高まるなか、食料安全保障の確保と中小・家族経営も重視する考えを我が国の農政の中長期の方針を定める次期基本計画に反映されるよう求めていきます。