1. 令和4年度予算概算要求の概要
農林水産省は、令和3年度当初予算比で16.4%増(3,792億円増)となる総額2兆6,842億円の令和4年度当初予算概算要求を財務省に行いました。農業の環境負荷軽減を進めるみどりの食料システム戦略関連対策が新たに要求されたほか、新規就農対策が変更・拡充、米の転作助成や輸出対策も拡充で要求されています。
(1)みどりの食料システム戦略関連施策を新たに要求
国は農業の環境負荷軽減を促進する取り組みとして「みどりのシステム戦略」を提唱し、2050年までに化学農薬の50%低減や有機農業面積の25%(100万ha)拡大、温室効果ガスの排出削減等を目指しています。令和4年度の概算要求では、環境負荷軽減に資するスマート農業技術や有機農業を促進するための事業が新設される予定となっています。
(2) 新規就農対策を見直し強化
近年の新規就農者数は全国的に減少傾向にありますが、現行の新規就農対策は就農当初の生活支援に重点が置かれ、持続的な経営発展に向けた支援が十分ではありませんでした。
令和4年度の概算要求では、事業内容が見直され、親元就農者も含め新規就農者(49歳以下)の経営開始資金として最大1,000万円を支援する事業が要求されています。
見直しにより、就農の選択肢が広がり、これまで以上の新規就農対策強化が期待されます。
令和4年度農林水産関係予算 概算要求に係る主な内容 | |
総 額 |
2兆6,842億円 |
主な事業 |
予算額 |
持続的生産強化対策事業 |
199 |
水田活用の直接支払交付金 麦、大豆や飼料用米などへの助成や産地交付金による産地支援、水田リノベーション事業を措置し水田転作を促進 |
3,320 |
強い農業づくり総合支援交付金 |
193 |
収入保険制度 |
206 |
みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業 |
65 |
みどりの食料システム戦略推進総合対策 |
30 |
持続的経営体支援交付金 |
120 |
新規就農者の育成・確保 |
236 |
農業農村整備事業 |
3,946 |
鳥獣被害防止対策・ジビエ利活用の推進 |
160 |
多面的機能支払交付金 |
490 |
中山間地域等直接支払交付金 |
268 |
※( )内は令和3年度予算額 |