政府は11月26日、例年この時期に決定している補正予算について、総額8,795億円の規模で閣議決定した。
① 3年度補正予算の特徴
岸田首相が重点対策として掲げていた米の長期保管・販売支援を措置するとともに、主食用米の削減、麦・大豆の振興等を推進する水田リノベーション事業が大幅に予算積み増しされることとなりました。
配合飼料価格の高騰に対応するため、財源不足が懸念されていた「配合飼料価格安定基金」の財源措置が行われ、肥料価格高騰への対応として、効率的な肥料施用を促進する「肥料コスト低減体系緊急転換事業」が措置されます。
② TPPの国内対策(輸出・基盤強化)
例年、補正予算ではTPPの国内対策として輸出対策や基盤強化対策が盛り込まれており、3年度補正予算でも輸出促進に向けた産地づくりや、基盤強化対策として高性能機械・施設導入・集出荷施設整備を支援する「産地生産基盤パワーアップ事業」、畜産・酪農の機械装置更新や施設整備を支援する「畜産クラスター事業」が措置されます。
3年度 農林水産関係補正予算の主な内容 |
総額8,795億円 |
コロナ影響緩和特別対策(米の特別枠) コロナ需要減に相当する15万トンの米穀の長期保管と販売促進を支援 |
165億円 |
水田リノベーション事業 輸出用米・麦・大豆・野菜・加工用米など需要のある作物の低コスト生産を支援 |
420億円 |
麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクト 麦・大豆の団地化や新技術導入、保管施設等の整備を支援 |
33億円 |
畜産クラスター事業 地域の収益性向上に必要な機械導入・施設整備・家畜導入を支援 |
617億円 |
産地生産基盤パワーアップ事業 産地の収益力強化に必要な高性能機械・施設の導入や貯蔵・加工拠点整備を支援 |
310億円 |
配合飼料価格高騰緊急対策 配合飼料価格安定制度の異常補填基金に所要額を積増し |
230億円 |
肥料コスト低減体系緊急転換事業 土壌診断や施肥設計をもとに肥料コスト低減体系への転換を支援 |
45億円 |
みどりの食料システム戦略緊急対策事業 有機農業や循環型技術による環境負荷軽の取り組みを支援 |
25億円 |
「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」の実施 海外販路開拓や輸出体制確立、輸出産地の育成、輸出拡大に向けた加工施設・集出荷施設の整備等を支援 |
432億円 |
スマート農業の導入支援 スマート機械の導入(共同購入や共同利用等)を支援 |
77億円 |